個人の活動とチームとしての活動の成果をやり取りし、双方の実行と最適化を促進するための仕組みが推進プロセスであり、その軸となるのは、チームでのミーティングとそこでのアジェンダの議論です。個々人がタスクに取り組む中で生まれた作成物やアイデア・問題・テンションをミーティングで共有し認識を揃えることによって、プロジェクトチームとしてのアイデアを共同創造し、問題の共同解決を行って次の行動を決定することが重要です。

ここでは、具体的なミーティングの準備について記載します。

プロジェクトスプリントでは「ミーティング」を、「チームメンバーが一時的に同一の環境に固定されてリアルタイムで会話をすることにより、素早く効率的な認識合わせと、全員にとって納得感のある意思決定をする場」と位置づけています。リアルタイムで全員が参加する定期的・反復的なミーティングで、問題点や違和感を共有して認識を揃え、次の行動とその進め方を決定することが重要です。

ミーティングロールの確認

まず、ミーティングを効率的・効果的に運営するための役割(ミーティングロール)を個々人に割り当てましょう。

具体的には、次のようなロールの割り当てが必要です。

  • ファシリテーター:議論を促進し成果の質を向上させることで、プロジェクトの成果をよりよいものにするロール。アジェンダの改善やその後の議論形成のサポート・助言を行う。
  • モデレーター:アジェンダの取りまとめや進行サポートを行うことで、議論のプロセスを最適化し進行の時間を維持するロール。アジェンダの合意から、その後のアジェンダ進行とタイムキープ、議論の結果決定された次の行動の明確化、ミーティング終了時の次回のアジェンダの決定までを担う。
  • コーディネーター:ミーティング環境を整えるロール。適切なミーティングルームの確保(オンラインの場合はミーティング環境の設定)、ホワイトボードやモニターの手配をする。
  • レコーダー:議事録を作成するロール。ミーティング後に議事録を共有するだけでなく、ミーティングの進行中にもリアルタイムで作成中の議事録を共有し、メンバー間の認識のずれを即座に修正することができるようにする。

チームメンバーの人数によって、一人が複数のロールを担当することもありますし、何もロールを持たないメンバーがいることもあります。ただし、いずれのロールも誰かが担うようにしてください。会議の参加者全員がそれぞれの視点から助言しうるので、ファシリテーターは全員が担うことになるでしょう。また、モデレーター、コーディネーター、レコーダーは属人性が低いため、固定ではなくミーティングごとに持ち回りにすることが望ましいものです。これにより、ミーティング運営に関する問題点や最適な方法について、参加者全員が自分から考えやすくなります。

ロールの分担はミーティングの都度話し合って決定してもかまいませんが、あらかじめミーティング前に分担や持ち回りのルールを決めておくと、当日のミーティング運営が効率的になります。

アジェンダアイテムの提出

毎回のミーティングが始まる前には、あらかじめ各チームメンバーがアジェンダアイテムを提出します。アジェンダアイテムには、少なくとも次のような内容が含まれている必要があります。

  • アジェンダアイテム名(何を議論したいか端的に記載する)
  • 進行方法(具体的な議論の進行イメージ)
  • 目的や背景(そのアジェンダアイテムを議論したい理由)
  • 誰から誰への議論か(誰がそのアジェンダアイテムのオーナーであり、誰と議論したいのか)
  • 時間(議論完了までの所要時間)

これらは、「何について話し合いたいのか」をアジェンダアイテムオーナーが明らかにするために必要な情報ですが、これに加えて「どの程度まで話し合いたいのか」までを明らかにしておくと、議論がより進めやすくなります。

具体的には、次の要素を追加で記載するようにします。

  • あるべき姿(アジェンダアイテムを議論した後に目指す状態)
  • 結果(議論が終わったときに生まれている明示的なアウトプット)
  • 参加者がアジェンダアイテムの完了について納得していることを証明する手段

これらの要素がそれぞれ事前に明らかになっていればいるほど効率的・効果的な議論ができるようになります。アジェンダアイテムオーナーだけでは記載することが難しいものを補足したり、他のチームメンバーから見て分かりにくいものを分かりやすくしたりして、これらの要素が記載できるように議論を整理していくことが、ファシリテーターに求められる役割です。

アジェンダアイテムの目的

アジェンダアイテムは、議論の目的によって次の三つの種類に分けられます。

アジェンダの種類

  • 発散:議論を通して幅広い選択肢が出てくる。結論が見えないテーマについて議論し、明確でないまま終了してよい。
  • 収束:議論を通していくつか選択肢から一つの選択肢に絞られる。メンバー間での意思決定や合意形成など、最終的に何かしらの結論を出す。
  • 共有:情報共有や前提確認など、チームメンバーと認識を合わせる。議論を特に必要としない。

個々のアジェンダアイテムがどれに分類されるのかあらかじめ示しておくことで、ミーティングの参加者が「どのような視点で」「どのような発言をするべきか」を理解することができます。例えば、「発散」のアジェンダアイテムであれば自由に意見を発してよく、新しいアイデアを出すことが重要だと分かります。反対に「収束」のアジェンダアイテムであれば、マイルストーン達成のためにどのようなアウトプットをつくっていくべきか、現実的な結論を導くことが必要だと分かります。また「共有」のアジェンダアイテムであれば、疑問点を質問しできるだけ認識を合わせることが重要だと分かります。


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