この記事の内容はプロジェクトスプリントにおける「プロセスドメイン」にあたります。

プロセスは定期開催のミーティングとそこでのアジェンダの議論を軸としたプロジェクトスプリント固有の仕組みです。これによって、プログレスドメイン・チーミングドメイン双方における「理想の状態」を達成することができるようになります。

ミーティングの準備/ミーティングの開催の二つの時間軸に分けて解説します。この記事は、ミーティングの準備について記載されています。

ミーティングの「型」

この記事では、プロジェクトスプリントで行われるミーティングの基本となる進行方法を説明していきます。おおまかな構成としては次のようになっているので、これをまずはじめに頭に入れておくと、それぞれの内容を理解しやすいでしょう。

  • 序盤:タスクの進捗報告、テンショントリアージ、アジェンダトリアージ
  • 中盤:個別のアジェンダアイテムの進行
  • 終盤:今回のミーティングから生まれたタスクの確認と、次回以降のミーティングのアジェンダ確認

さらに、特にミーティングの序盤と終盤は定型化しやすく、時間がたつにつれ、具体的な方法論や必要な時間、細かい順番が定まってきます。チームにとって最適なミーティングの「型」を見つけましょう。

タスクの進捗報告とテンショントリアージ

ミーティングの最初に、タスクの進捗報告とテンショントリアージを行ってください。これらを通じて、前回のミーティングから今回のミーティングまでに起こったことについて、チームメンバー同士でアップデートを行います。議論の結果は、その日のミーティングで話すことを決める材料になります。

なお、タスクの進捗報告とテンショントリアージはそれ自体がアジェンダアイテムです。したがって、後述するアジェンダトリアージの前に実施されるものではありますが、ファシリテーター(モデレーター)がこれらのアジェンダアイテムの進行についても管理する必要があります。

タスクの進捗報告

初回のミーティングを除けば、前回までのミーティングを経て、何かしらの各自のタスクが生まれているはずです。これらのタスクの進捗状況を確認しましょう。

タスクをこなした結果、アウトプットが生まれている場合には、アウトプットをもとに話し合うべきアジェンダアイテムがないか確認しましょう。 もしアウトプットがなくても、進捗が思うように進まないことについての相談があったりする場合があります。このような場合も、これを解決するためにアジェンダアイテムとしてミーティング内で議論する必要がないか、確認しましょう。

なお、すでにあらかじめアジェンダアイテムとして提出されていた場合は、ここでさらに追加する必要はありません。

テンショントリアージ

テンションとは、「プロジェクトを過ごす中で他のメンバーに伝えたい違和感」のことです。具体的には、メンバー一人一人が思う「こうしたらもっとより良くなるのに」という現状とよりよい状態の間のギャップ、ちょっとしたアイデア・気になること・不安などのことを指します。またトリアージとは、選別と優先順位づけをする行為のことを指します。

すなわちテンショントリアージとは、各メンバーが感じている違和感を全員で共有したうえで、いまチームを改善するために必要なものを優先的に選び、解決しようとすることです。

前述のようにテンションとは現状とよりよい状態のギャップから生まれるものです。そのため、テンショントリアージを行う際にプログレスドメイン・チーミングドメインにおける理想の状態(=プロジェクトのゴール・マイルストーンとチームのロール)を参照できるようにしておくことが、テンションをあげるために効果的です。

テンショントリアージで共有した内容は、解決のためのアクションに落とすようにしてください。具体的には、直接的な改善案が明確な場合、テンションを解決するための新たなタスクとしてください。また、直接的に改善策が明確でない場合や、時間をとった議論が必要な時は、新たなアジェンダアイテムとし、改善策を探すようにしてください。

なお、すでにあらかじめタスクとしてリストアップされていたり、アジェンダアイテムとして提出されていた場合は、ここでさらに追加する必要はありません。

アジェンダトリアージ

続いて、アジェンダトリアージを行ってください。アジェンダトリアージにはミーティングにいるチームメンバー全員が参加します。

トリアージとは、ここでも同じく選別と優先順位づけをする行為のことを指します。すなわちアジェンダトリアージとは、その日のミーティングで話したいことを参加者全員で出し合い、優先的に話し合うべきものを選ぶことです。

ファシリテーター(モデレーター)は、アジェンダトリアージを主体的に進行し、最終的な合意まで持っていくことが求められます。

この時点で、2種類のアジェンダアイテムが用意されているはずです。

  1. ミーティング前に提出のあったアジェンダアイテム
  2. タスクの進捗報告またはテンショントリアージの結果、新たに生まれたアジェンダアイテム

アジェンダトリアージは、これらのアジェンダアイテムのうち、その日のミーティングで議論すべきものと議論する順番を決める作業です。プロジェクトのマイルストーンやゴールを参照しながら、優先順位をつけていきましょう。

事前に提出されたアジェンダアイテムの内容に不明点があれば、チームメンバーはそれに対して納得できるように質問をしましょう。このとき、ファシリテーター(アクセラレーター)にはこのアジェンダアイテムの改善に関する議論を活発にすることが求められます。

アジェンダアイテムの内容が明確になった結果、あらかじめ設定されていた所要時間だと余りそう、または逆に足りなそうである、と判明することがあります。このときは、アジェンダアイテムの所要時間を調整しましょう。

それぞれのアジェンダアイテムの内容が明確になったら、優先順位をつけましょう。マイルストーン達成のために必要なアジェンダアイテムから議論するのが基本です。直近のマイルストーンの内容と、その期限までに開催できるミーティングの回数を考慮しましょう。マイルストーンを参照した結果、個別のアジェンダアイテムの議論においてどのような結論まで持っていくべきかを調整することもあります。

なお、事前に提出されたアジェンダアイテム以外に、チームメンバーから見て緊急性が高いアジェンダアイテムがある場合には、チームメンバーの合意を得た上で、それらのアジェンダアイテムが優先されます。

優先順位をつけた結果、当日話し合うことができないアジェンダアイテムは、次回以降のミーティングに持ち越しましょう。こうしたアジェンダアイテムがあるとき、アジェンダトリアージは、次の3種類の中から優先順位づけをすることになります。

  1. ミーティング前に提出のあったアジェンダアイテム
  2. タスクの進捗報告またはテンショントリアージの結果、新たに生まれたアジェンダアイテム
  3. 前週までの持ち越しアジェンダアイテム

当日話し合うことになったアジェンダアイテムは、元々の優先順位に従って議論してもかまいませんし、内容に応じて関連するテーマについて続けて議論できるように順番を並べ替えることもできます。並び替えを行うメリットは、関連しあうテーマ同士について続けて議論するほうが効率的であることです。

ミーティングの進行

個別のアジェンダアイテムの消化

アジェンダトリアージが終われば、一つ一つのアジェンダアイテムについて議論しましょう。

一つ一つのアジェンダアイテムは、すでに記載されているアジェンダアイテムの内容に基づき、それぞれのアジェンダアイテムオーナーがメインで進行します。ファシリテーター(アクセラレーター)は議論の内容と最終的な結論がより良くなるように議論に参加しましょう。レコーダーは、議論の経緯・内容をリアルタイムに記録し、参加者が常に見ることのできる状態にしましょう。

アジェンダアイテムの管理

ファシリテーター(モデレーター)は、ミーティングを通してアジェンダアイテムの管理と調整を行います。ただし、以下で説明するアジェンダアイテムの管理と調整は、すべてチームメンバーと話し合いながら決めるべきものです。ここでも、直近のマイルストーン達成のためにはどのような選択が有効か、が基本的な判断基準となりますが、最終的にはチームメンバーの話し合いで出た結論が優先されます。

まず、それぞれのアジェンダアイテムが議論されている最中は、予定されている時間内にそのアジェンダアイテムが終わるように気を配ってください。

ただし、議論の内容に応じて、アジェンダアイテムが予定した時間より延長してしまったり、逆に早く終わってしまうことがあります。 アジェンダアイテムが予定した時間より延長している場合、ファシリテーター(モデレーター)はそのアジェンダアイテムを次回に持ち越すようにするか、一定の結論が出るまで議論を続けるかを検討してください。

次回に持ち越す場合、このアジェンダアイテムは、

  1. 前週までの持ち越しアジェンダアイテム

の一つとして扱われます。これまでの過程でアジェンダアイテムの詳細はすでに完成しているはずですが、それまでのミーティングで議論した内容もあわせて把握できるよう、レコーダーが記録した内容も一緒に確認できるようにしておきましょう。

一定の結論が出るまで議論を続けるようにしたときは、他のアジェンダアイテムの時間を調整するか、場合によっては他のアジェンダアイテムを次回以降のミーティングに繰り越すようにしてください。

アジェンダアイテムが予定よりも早く終わってしまった場合、他のアジェンダアイテムの時間を延ばして余裕を持って議論できるようにするか、次回以降に繰り越すようにしていたアジェンダアイテムからその時のミーティング中に先に話し合うべきものがないか、検討してください。また、ミーティングが早く終わることを選択することもできます。

また、個別のアジェンダアイテムを議論した結果、新しく話し合うべき内容、つまりアジェンダアイテムが生まれることがあります。このとき、当日の追加アジェンダアイテムとして扱うか、次回以降に持ち越すかを検討する必要があります。

当日の追加アジェンダアイテムとして扱うときは、以下のいずれかの対応を取ってください。

  • 他のアジェンダアイテムの時間を調整する
  • 他のアジェンダアイテムを次回以降に繰り越す
  • ミーティングの参加者全員に確認して、ミーティングの時間を延長する

もしアジェンダアイテムの内容が明確な場合は当日の議論も可能ですが、そうでない場合は次回以降に持ち越すのがよいでしょう。次回以降に持ち越すときは、このアジェンダアイテムは

  1. ミーティング前に提出のあったアジェンダアイテム

の一つとして扱われます。

  1. 前週までの持ち越しアジェンダアイテム

と違うのは、アジェンダアイテムの内容が明確になっていない点です。したがって、ミーティング中に生まれたアジェンダアイテムについては少なくともアジェンダアイテムオーナーを明確にした状態でミーティングを終えましょう。そして、アジェンダアイテムオーナーは次回のミーティング前にアジェンダアイテムの内容を明確にしておくようにしてください。

ミーティング終了時

ミーティング終了時には、今回のミーティングから生まれたタスクの確認と、次回のミーティングアジェンダの確認を行ってください。これによって、今回のミーティングの結果と、次回のミーティングまでに何をするべきかを確認することができます。これらの作業の前提として、マイルストーンの確認を実施することも効果的です。これによって、次回のミーティングまでに何をどこまでするべきか、の優先順位付けをしやすくなります。

なお、これらについても、それ自体がアジェンダアイテムです。したがって、ファシリテーター(モデレーター)がこれらのアジェンダアイテムについても管理する必要があります。

今回のミーティングから生まれたタスクの確認

今回のミーティングで取り上げたアジェンダアイテムの議論を経て、チームメンバーがやるべきこと、つまりタスクがいくつか生まれているはずです。レコーダーの記録をもとにして、生まれたタスクを確認し、リストアップしましょう。リストアップしたタスクには、具体的な行動内容、担当者、期限を明確にするようにしてください。

次回以降のミーティングアジェンダの確認

実際にミーティングで取り上げるアジェンダアイテムが確定するのはミーティングの当日ですが、毎回のミーティングの終了時に、次回以降のミーティングで話し合うべきアジェンダアイテムについて議論しておきましょう。このようなアジェンダアイテムには例えば次のようなものがあります。

  • 次回以降に持ち越しになったアジェンダアイテム
  • 進捗確認など、あらかじめタイミングを決めて議論するべきとされるアジェンダアイテム

事前にチームメンバー全員で確認することで、アジェンダアイテムオーナーのアジェンダアイテム提出漏れや、持ち越したアジェンダアイテムの内容の不備を防ぎやすくなります。

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