プロジェクトスプリントではゴールとマイルストーンという概念を用いてプロジェクトの時間軸を整理することを基本としています。 この記事では、このゴールとマイルストーンに加え、チームメンバーがコミュニケーションをするうえで知っておくとよい概念を紹介します。

トラック - ゴールに対して複線的なマイルストーンの進行をしたいときの考え方

トラック/フェーズ概念図

トラック概念図

プロジェクトスプリントでプロジェクトのゴールとマイルストーンを設定してプロジェクトを進行するとき、最もシンプルな構造は、

  • ゴール X
    • ゴールX を実現するための マイルストーン A-1
    • マイルストーン A-1 を実現するための、マイルストーン A-2
    • マイルストーン A-2 を実現するための、マイルストーン A-3

というものです。端的に時系列で表現すると、

マイルストーン A-3 -> マイルストーン A-2 -> マイルストーン A-1 -> ゴールX

というかたちで、プロジェクトが進行します。

しかし、実際にはこのように単純な構造でプロジェクトが進行することはほとんどありません。

例えば、次のようなときです。

  • ゴールX
    • ゴールXを実現するためには、マイルストーンAと、マイルストーンBが必要
    • マイルストーンAは、3つのマイルストーンに分けて達成できる
    • マイルストーンBも、3つのマイルストーンに分けて達成できる

このとき、次のような時系列でゴールXが実現します。

マイルストーン A-3 -> マイルストーン A-2 -> マイルストーン A-1

マイルストーン B-3 -> マイルストーン B-2 -> マイルストーン B-1

マイルストーン A-1 + マイルストーン B-1 -> ゴール X

マイルストーンAを作る流れ とマイルストーンBを作る流れのことを、それぞれ「トラック」と呼びます。

例えばあるWebサイトを立ち上げるプロジェクトを考えたとき(ゴールはWebサイトの完成)、Webサイトのデザインを考えるチームと、Webサイトのシステム環境を整える作業は(関連はしながらも)並行して進行します。このとき、それぞれの作業領域を「トラック」として分割し、トラックごとにマイルストーンを分けて考えることで、よりプロジェクトを構造化してとらえられるようになります。

フェーズ - マイルストーンとマイルストーンの間の意味的な位置づけ

例えば「新規事業を立ち上げる」というゴールを持ったプロジェクトがあり、このために次のようなマイルストーンを設定したとします。

  • マイルストーン1 外部環境、自社や競合他社の状況に関する調査書の完成
  • マイルストーン2 調査書に基づいた新規事業計画書の作成
  • マイルストーン3 新規事業計画書に基づいた、実際に事業を立ち上げることのできる環境づくり

これらのマイルストーンを上から順に実行することによって、ゴールが達成できます。マイルストーンは成果物と紐づく必要があるので、このような書き方になります。(調査書、新規事業計画書、事業を立ち上げることのできる環境、がそれぞれ成果物です)

しかし、プロジェクトでのコミュニケーション上は、いま自分たちは何をしているのか?ということを表現できたほうが便利です。このそれぞれを、「フェーズ」と呼びます。つまり、この例では、

  • マイルストーン1を達成するまでの間:調査フェーズ
  • マイルストーン2を達成するまでの間:企画フェーズ
  • マイルストーン3を達成するまでの間:実現フェーズ

などと呼ぶことができます。

なおフェーズの名称は、ゴールに向けたマイルストーン全体の中で何をしているのかが分かりやすく、自分たちのチームはもちろん、プロジェクトのその他のチームメンバーから見て何をやっているかわかりやすくなっていることが重要になります。

なおこの結果、トラック間での進捗状況の共有やマイルストーンの詳細な確認などを目的とした連携が必要になることがあります。このとき、連携が必要かどうかを検討・判断するのはプログレスについて責任を持つロールになりますが、ミーティングをアレンジするのはプロセスについて責任を持つロールになります。

イベント - マイルストーンやゴールの設定に影響を与える重要行事

プロジェクトの外部環境にあって、マイルストーンやゴールの設定に影響を与えるためプロジェクトメンバーが意識しておかなければいけないものは、「イベント」と呼び、区別して管理します。

一つの典型的な例は、プロジェクトとは別で日々行われている、組織の定常業務です。具体的には取締役会などがこれにあたります。これ自体プロジェクトの成果物を生み出すわけではありませんが、プロジェクトに関する何らかの報告や承認依頼が行われるなどの理由から、こうしたミーティングに合わせてマイルストーンを設定したりする必要があるときがあります。また、こうしたミーティングからフィードバックされた情報がプロジェクトの前提条件を変え、マイルストーンや、ときにはゴールそのものを変える必要がある場合もあります。

また、「商戦期」といったような、期間をもったものも、イベントとして管理することが有効です。それに合わせて、プロジェクトのマイルストーンを設定する必要がある、またはその結果マイルストーンやゴールを調整する必要があるという点は、特定の日付であっても期間であっても変わらないからです。