継続的改善アプローチ
Project Sprintでは、ミーティングを通じて継続的にプロジェクトの進め方を改善すること(最適化)を目指しています。これらの最適化のための取り組みを総称して「継続的改善アプローチ」と呼んでおり、これはさらに「振り返り」「テンショントリアージ」「ロールセッション」という三つの取り組みに分けられます。プロジェクトの状態やタイミングに適した手法を使うことで、様々な問題や違和感を発見しやすくなります。
継続的改善アプローチとは
継続的改善アプローチは、今後のプロジェクトをよりよい状態にするべく継続的に改善しつづけるための仕組みです。この仕組みを通じてプロジェクトの進捗状況の共有のみならず、プロジェクトの進め方の継続的な改善ができるようになります。マイルストーンの開始時や終了時といった区切りのタイミングだけでなく、定期的にアクションを実施することが重要です。
代表的なアクションとしては「定期的に振り返りを実施して、プロジェクトをよりよい状態にするための改善策を検討する」ということになりますが、実施する視点によって考え方や最適なアプローチも変わってきますので、以下ではそれらについて記載します。
いつを見るか
継続的改善アプローチの中では、**「過去」・「現在」・「未来」**の3つの視点でものごとを捉えます。一般的に「振り返り」といえば「過去」を見るものですが、Project Sprintの継続的改善アプローチでは、「過去」だけではなく「現在」や「未来」にも目を向けることが重要と考えています。
なぜ「現在」を見るのか
「過去」だけではなく「現在」を見るのは、プロジェクトチームのメンバーが今どのような心境なのか(気になっていることや困っていることがないか)をリアルタイムに共有することが、チームの状況を改善していくために不可欠であると考えているからです。
これが「過去」を見る振り返りだけであるならば、問題が共有されるのはその問題が起こってしまった後である可能性が高いのですが、「現在」を見ることで、問題が顕在化もしくは拡大する前に共有し対処することができるようになります。
そのため、Project Sprintでは、定例ミーティングの中でのテンションの共有という形で、定期的に現在の心境を出し合うことを推奨しています。
なぜ「未来」を見るのか
一方、「未来」を見て改善をするのは、実施しようとしているプラン自体を改善してプランの精度を高めていくためです。
リスクマネジメント的視点ではありますが、重要なのは「想定しているプランを実行したら、何が起こるだろうか」という仮想経験を共有することです。それによって、仮に失敗しそうであれば事前にプランを改善することができ、プランそのものの質を高めることができます。また、仮にプランそのものに問題がない場合も、一度仮想的に経験をしているので、実際に実施する際に余裕を持って対応することができます。
「未来」を見て改善するアプローチの1つとして、「プレモータム・シンキング」と呼ばれるものがあります。これは、日本語に訳すと「事前検死」というもので、これから取り組んでいくプロジェクトが失敗したと仮定して、その失敗要因を分析したり、解決策を検討するというアプローチです。ビジネスにおいては、「早く失敗すること」の重要性がよく指摘されますが、プレモータム・シンキングは最も早く失敗を体験できるものであり、その意味でも有効な1つの手法といえます。
現在の気持ちを共有することの重要性
プロジェクトを改善していく上で、このように「過去」「現在」「未来」を見ることはいずれも重要ではありますが、中でも重要なのは「現在」の気持ちを共有することだと考えています。 気持ちを吐き出すことができる場があることで、前述のようにプロジェクトの課題が改善されるだけでなく、メンバーのプロジェクトへの参加感の向上にもつながるものです。
何を見るか
では、「過去」「現在」「未来」について、具体的に何を見るとよいでしょうか。 Project Sprint 101でも記載しているように、Project Sprintでは単にプロジェクトの進捗を見るのではなく、プログレスやチーミングが理想の状態にあるかどうか、またプロセスが円滑に機能しているかどうかがプロジェクトを進めていく上で重要な要素と考えており、継続的改善アプローチでも、これらを検証することを推奨しています。
以上、「いつを見るか」ということと「何を見るか」という視点をかけ合わせると、それぞれの項目において想定される基本的な問いは下表のような事項になります。 これは基本形ですので、各プロジェクトにおいて必要な問いそのものを定義した上で、そのプロジェクトにとって必要な検証・改善が行われる状態を構築していきましょう。
最終更新